近年、教育現場などでも関心が高まっている食育。
食育を正しく学び、生活に活かしたり、周囲に広く伝えられたりする人材になるための資格が数多く存在します。
今回ご紹介する「食育インストラクター」もその1つです。
今回は、この食育インストラクターという資格がどのような資格なのか、また、どのような場面で活かせるのかなど、資格の取得方法についても解説します。
食育インストラクターとは?
食育に関する指導者の証
食育インストラクターは、特定非営利活動法人 NPO日本食育インストラクター協会が認定する民間資格です。
認定協会によると「”食育”を基礎から学び、日々の生活に活かし、広く推進・社会で活躍できる“食育”の指導者の証となる資格」であると定義されています。
食育に興味がある・家庭で活かしたいという食育初心者から、栄養士や調理師といった食のプロフェッショナルまで幅広い層が取得する食育インストラクター資格は、プライマリーから1級まで段階ごとに5つの級が設けられています。
このようにさまざまな用途や目的に対応できる広い視点で「食」を見つめ、食育を学ぶことができるのがこの資格の特徴です。
食育インストラクター資格が活かせる場面や仕事について
家庭や飲食業界はもちろん、保育や介護業界などでも活かせる
食育インストラクターの資格を取ることで、食育を正しく学べるだけでなく、いろいろな立場の人がさまざまな場面で活かせます。
●家庭で活かす
子どもを対象とするイメージの強い食育ですが、子どもたちに栄養たっぷりの安全な食事を用意したり、正しい知識を伝えたりするためには大人がまず食育を学ぶ必要があります。
また、子どものためだけではなく、食育は大人の健康維持にも欠かせないものです。
安心安全な食材を知り、食事のマナーや知識を得ることで成長期の子どもや大人だけでなく、乳幼児や妊産婦などあらゆる年代の役に立ちます。
●仕事で活かす
食育インストラクターの資格はさまざまな仕事の役に立つため、キャリアアップのほか、就職・転職にも有利になります。
・料理教室の開講、食育セミナーの講師などがおこなえます。
・外食業界や健康食品・サプリの開発をおこなう企業で活躍できます。
・学校や保育の現場などで働く保育士や養護教諭、家庭科教諭の方など、資格を取ることで自信を持って正しい食育指導がおこなえます。
・介護施設などで施設利用者に合わせた食事を提供するのに役立ちます。
●地域での食育活動に役立つ
地域の保健所や保健センターなどがおこなう高齢者食の料理体験や栄養・食習慣についての指導、生活習慣病の予防などがおこなえます。
●食文化を継承する役割を担える
季節の食べ物や伝統的な行事食のほか、その地域ごとの郷土料理などの食文化を継承していくのに役立ちます。
食育インストラクター資格の取得方法は?
レベルにより5段階に分かれ、取得方法は異なる
食育インストラクターの資格は、レベルにより以下のような5段階に分かれています。
受験資格や取得方法について簡単にご紹介しますので、ご参考ください。
●プライマリー
食育の3本柱(※)や基礎知識を学び、問題意識を持って日々の生活に活かすことを目的とします。
合格率は非公開ですが、知識の習得が重視され取得難易度はやさしいといわれています。
※食育の3本柱とは:協会ホームページより引用
引用元:NPO日本食育インストラクター協会
1.安心・安全・健康の選食能力を養う
2.衣食住の伝承・しつけは共食(家族の団欒)から
3.食糧問題やエコロジーなど、地球の食を考える
【取得方法】
通信教育で学び、試験に合格することで資格が取得できます。
●4級
食育の基本を踏まえたうえで家庭料理の基礎技術を学びます。
また、それらを日々の生活に活かすことができる状態を目標にします。
【取得方法】
・主催協会の推進校に通学し、既定の実習と授業を受講後、食育筆記試験に合格
・上記以外の場合は、認定研修会受講、調理実技実習+実技筆記試験に合格、食育筆記試験に合格など
●3級
食育の重要性を理解し、料理技術を向上させることで、日々の生活で食育を実践するだけでなく、身の回りの人たちにも伝えられるようになることを目的とします。
食育関連の国家資格(管理栄養士など)をお持ちの方は、プライマリーならびに4級を取得せずに3級から受験することができます。
【取得方法】
①認定研修会、または推進校で単位を履修
②食育筆記試験に合格
③調理実技筆記試験に合格、または推進校にて既定の調理実技を履修
※プライマリー取得者の場合は③のみ
●2級
食育に関する幅広い知識を有すること、また、基本的な知識をわかりやすく伝えられるようになることを目的としています。
【取得方法】
①資格認定食育研修会で単位を履修
②食育筆記試験に合格
③調理実技筆記試験に合格、または推進校にて既定の調理実技を履修
※プライマリー取得者かつ食育関連の国家資格をお持ちの方は、③が免除されます
●1級
食育全般に関する幅広い知識と、料理・栄養・健康・衛生などの各テーマに対する専門知識を広く伝え、食育の普及活動ができるようになることを目的としています。
2級取得者や栄養教諭が受験する高いレベルとなり、資格取得後はプロフェッショナルとしての活躍が期待できるでしょう。
【取得方法】
①2級を取得後、1年以上の実務経験を積む
②食育活動報告書の提出
③食育メニューの提案
④1級・2級資格認定合同研修会に参加し、単位を履修
⑤食育筆記試験に合格
●費用について
階級により取得にかかる費用が異なりますので、事前に公式ホームページなどで確認するとよいでしょう。
一例:講座の受講料、試験の受験料、修了証の発行料など
このように、階級により取得方法が異なります。
独学だけでは取得できないことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
資格をどのように活かしたいのかなど、自身の目的に合わせて階級を選ぶとよいでしょう。
プライマリー資格取得が目指せる講座のご紹介
前述のとおり、プライマリー資格は通信講座で学び、試験に合格することで取得できます。
協会認定のがくぶんが開講している「食育インストラクター養成講座」をご紹介します。
服部幸應氏監修による、食育インストラクターとしての基礎知識や実践方法を自宅で学べます。
教材にはテキストやDVDに加え、実践に役立つレシピ集もついてきます。
この講座は通常3~6ヶ月の学習期間が目安とされていますが、ここでは標準的な学習スケジュールをご説明します。
<1ヶ月目>食生活の基礎知識を身につける
日本における食生活の問題点や食育の重要性を学びます。
また、食育インストラクターとしての活動をどう始めるかもわかります。
<2ヶ月目>安全な食材の選び方を学ぶ
安全な食材(肉、魚、野菜など)の選び方に加え、添加物や食品表示の見方、遺伝子組み換え食品についても学びます。
栄養学の基礎や、生活習慣病予防のための食習慣もマスターできます。
<3ヶ月目>食材にくわしく学ぶ
日々の生活でよく使う食材の約100品目についてくわしく学びます。
畜産品、魚介、穀物、野菜や果物、加工食品、調味料などの選び方やその健康効果、保存方法のほか、栄養を損なわない食べ方や調理のポイントなども学べます。
<4ヶ月目>食事のマナーや和食の知識、環境を考えた暮らし方を学ぶ
和食の魅力やマナー、その地域の郷土料理、季節の行事食など、和食文化についての知識を身につけます。
また、日本の食事情や、食の面から見る環境問題などにも着目し、地球に優しい暮らしの実践に役立てます。
<5ヶ月目>食育の年代別の実践方法を学ぶ
あらゆる年代に対して必要な食育について学びます。
妊娠期や離乳期、幼児食期、成長期の子どもにおこないたい食育や、シニア世代の食知識についても身につけられます。
各カリキュラム履修後は課題を提出し、講師より指導を受けます。
最終課題が修了認定試験となり、合格することでプライマリー資格が認定されます。
希望者には修了証や認定証、認定カードが発行されますので、履歴書への記載や就職・転職時に活用されてはいかがでしょうか(※受講料とは別料金)。
食育インストラクターと食育アドバイザーの違いとは?
学習内容や受験方法に違いがある
食育インストラクターのほかに「食育アドバイザー」という資格もあります。
どちらも食育に関する資格で似た印象を受けますが、異なる資格です。
その違いを簡単にご説明します。
(1)認定機関が異なる
食育インストラクターは特定非営利活動法人 NPO日本食育インストラクター協会が、食育アドバイザーは一般財団法人 日本能力開発推進協会(JADP)が認定しています。
(2) 学ぶ内容が異なる
食育インストラクターの資格は、食育に関する正しい知識と健全な食生活を実践する力を持つことで、人々に食の大切さと必要性をアドバイスすることができる専門家としての人材を育成するものです。
こちらは実際に調理をおこなう現場で活躍できます。
一方、食育アドバイザーは、食育や衛生管理の知識を活かしてアドバイスをおこなう人材を育てるための資格です。
(3) 受験方法が異なる
前述のとおり、食育インストラクターは階級により受験資格や取得方法が異なります。
一方、食育アドバイザー資格には階級が設けられておらず、受験時に実技試験がありません。
認定の通信講座を受講後、在宅にて受験が可能です。
こうしたことからこの2つの資格を比較してみると、食育インストラクターの方が食育アドバイザーと比較した場合に求められる知識が幅広いものとなります。
食育アドバイザーについては、以下ページで詳しく解説していますのでご参考ください。
関連記事:食育アドバイザーとは?活かせる場面や資格取得方法について解説します!
まとめ
今回は、食育インストラクターの概要や資格の取得方法などを紹介してきました。
食育初心者からプロフェッショナルまで、さまざまな場面で活かせることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
資料の取り寄せは無料ですので、まずは資料をご覧のうえ、資格取得を検討されてみてはいかがでしょうか。
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